狂い水

 人気アイドルや財務省のエリート官僚の皆さん、酒の代償はかなり大きかったですね。 私のような凡人だったら酒の席は無礼講とばかりに”ボケオヤジ”で済むでしょうが、社会的な地位が高い人ともなれば職を失うハメになります。

 相手との信頼関係がなかったんでジョークではすまなかったのでしょう。やったことは良くないけれど、これまでやってきた功績ってのも考慮してあげて血祭りにあげるのもこれくらいにしてあげてほしいですね。まぁ私はセクハラとは無縁の人間ですからどうでもいいんですが・・。

 以前酒の販売に携わってたこともあってか、学生時代から手に入らない酒を集めてはカクテル作りに勤しんでいました。

 たくさんの友人が訪ねてきてはポットラックパーティをやっていましたが、酒の犠牲者が後を絶たず、とうとう来る人はいなくなってしまいました。

 最近は美味い缶酎ハイが安く販売されるようになりシェーカーを振る機会もめっきり減ってきたので、今日はサイドボードから酒を取り出し、ボトルを磨き、酸化防止用窒素ガスの充填を行いました。

「百役の長」と言われる酒が世間を騒がせておりますが、良い機会なのでアルコールについて誤解がないよう少し話します。

 酒とは酒税法により「エタノールの濃度が1%以上の飲料」と定義されており、濃度は%、度、プルーフで表されています。ラベルに記されたUSプルーフは度数の2倍、UKプルーフは度数の約1.75倍ですが、現在は度数表示、または併記に変わってきています。

 生(き)で飲む酒、問えばワイン、日本酒などはアルコール度数10~15%程度、焼酎で25%程度。ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、テキーラ、ジンなどの度数は40度前後ありますが、水や炭酸で1:4程度に割って飲むことが多いのでアルコール度数は概ね8%程度に落ちたものを口にすることとなります。流行りのストロング系缶チューハイ程度と思ってよいでしょう。

 中には例外もあり、こんな151proof(75.5度)の酒もあります。炎を近づけるとたちまち引火するほど度数が高く、喉頭がんや食道がんにもなりやすいのでそのまま飲むことは避けた方が良いでしょう。

 このジャマイカ産のラム酒はハワイの生んだ有名なトロピカルカクテル「マイタイ」のレシピに不可欠で良く使っています。ハワイに行くと高確率で飲まれるのでご存じの方も多いでしょう。

 もちろん酒はこのアルコールを摂取することで酔いにつながるのですが、酒はチャンポンにすると悪良いするってのは何の根拠もなく間違いです。また飲む前に牛乳を飲んで胃に膜を作るなどという話がまことしやかに囁かれますが明らかに都市伝説です。

 要はどれだけの量のアルコールをどれだけの時間をかけて体内に取り込んだかで、次の通り相乗積を使うと容易に計算できます。相乗積は利益計算に使われる手法ですが、こんな利用法はいかがでしょうか?

 例えば、居酒屋でビールジョッキ一杯飲んで、チューハイグラス一杯、次の店でカクテルを1杯、つまりチャンポンした場合の計算は次の通りとなります。(氷の融解は計算していません)

ビール(ジョッキ) ①容量(ml) ②構成比 ③度数 ④相乗積
生ビール 500ml 100% 5% 5%

アルコール度数 5% アルコール摂取量 25ml

チューハイ ①容量(ml) ②構成比 ③度数 ④相乗積
焼酎(赤霧島) 30ml 20% 25% 5
炭酸 120ml 80% 0% 0
小計 150ml 100% 5%

アルコール度数 5% アルコール摂取量 8ml ※ダブルだと倍です。

カクテル(マイタイ) ①容量(ml) ②構成比 ③度数 ④相乗積
ホワイトラム 45ml 41% 40% 16
トリプルセック 10ml 9% 38% 4
パイナップルジュース 15ml 14% 0% 0
オレンジジュース 15ml 14% 0% 0
レモンジュース 10ml 9% 0% 0
151デメラララム 15ml 14% 76% 10
小計 110ml 100% 30%

アルコール度数 30% アルコール摂取量 33ml

  ①容量(ml) ②構成比 ③度数 ④相乗積
生ビール 500ml 66% 5% 3%
チューハイ 150ml 20% 5% 1%
カクテル 110mi 14% 30% 4%
合計 760ml 100% 9%

アルコール度数 9% 総33アルコール摂取量 66ml

 こんな面倒な計算する人なんで誰もおらんでしょうが、上の表のとおり、カクテルの「マイタイ」を例にあげますと、ジュース類で割るので度数はかなり下がりますが、それでも30%のアルコール度数があり、かなり度数は高め。「マティーニ」ともなると40%以上となります。バーでは強い酒をオーダーするとチェイサー(ミネラルウォーターが一般的)を出してくれます。二日酔いの防止、酔いのコントロール、飲み過ぎ防止に大きな効果があるので、酒が強くない方は多めに摂取すると良いでしょう。

 呼気呼気1リットル中のアルコール量が0.15mg以上、0.25mg未満の場合は酒気帯び運転違反となり、違反点数は13点です。アルコール量が0.25mg以上となると違反点数は25点。呼気中のアルコール量とは関係なく、例えば千鳥足で上手く歩けない方や、呂律が回らず上手くしゃべれないなど、酒に酔って正常な運転ができない状況で運転をした場合は「酒酔い運転」と見なされ違反点数35点 、免許の取消欠格期間3年の処分となります。さらに大きな罰金も課されますし、社会的な地位も失う羽目になります。

 酒の怖さはこれらの判断をするのが出来なくなること。呼気呼気1リットル中のアルコール量が0.15mg以下になるのに、アルコール摂取量が50ml(ジョッキ2杯程度)飲んだら、分解の早い人で2時間、遅い人で4時間はかかりますから、大量に摂取した場合、確実に翌朝に残りますから運転もやめるべきですよ。

 今日は天気が悪いのでその後、ゆっくり家で酒のみ。やっぱりヒラスの刺身は最高ですな。私には有毒ですがアヒージョも酒のあてにピッタリです。

 いい歳をして狂い水でヘタを打たないように注意しましょう!

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