「なんでわざわざ遠くまで釣りに行くん?」って言われるとよくわからんのですが、なんか遠くの釣り場に行きたくなるんです。
確かに近くでも同じように釣れるんだけど釣れるか釣れないかじゃなくて”ゆっくりやれるから”ってことなんかもしれません。
目的地は大分県南佐伯市の尾浦という防波堤で片道約200キロあります。目当ての魚があるわけでもなく五目釣りをやって刺身を作りお酒をいただきます。
金曜日仕事を終えて帰宅し、21時に自宅を出発。0時過ぎに東九州道を降りたら休日割引となります。
そうそう、余談ですが2018年8月1日より速見IC~日出(ひじ)JCT~大分米良IC間の道路名が、大分自動車道から東九州道に変更となったそうです。東九州道が分断されていたのがこれで繋がりましたね。大分自動車道は鳥栖~別府間となります。
釣り場までは移動距離が長いので佐伯市に近い「道の駅やよい」で車中泊しました。
車中泊が数組。午前0時を過ぎているのでもうお休み中のようですね。道の駅近くのセブンイレブンで購入した「おでん」で酎ハイをいただいたら爆睡しました。
午前8時出発、釣り場近くにスーパーがないので佐伯市内にあるイオングループの24時間営業のSC「マックスバリュー」で期間中の食料品買い出し。ついでに朝食も。
こんな時間からしっかり弁当が売っているんですよ、私にとっては旅先でのアンカーストアです。
毎度のお子様ランチ系の弁当を買ってクルマの中で朝食。
佐伯市内から30分足らずで尾浦に到着。防波堤に上がるとはエギング(エギというルアーを使ったアオリイカの釣り方)が数人。他に釣り人が数人。
実はこの防波堤は魚釣り場としては二流であまり人気がありません。防波堤の捨て石が5mほど入りその先は砂地。砂地に身を隠せる魚以外は身を隠せる藻や岩礁がないので小魚や臆病な魚類はあまりいませんし、それを捕食する魚も少ないってわけです。
そんな釣り場ですが私が好きな理由は人が少なくゆっくり出来るってこと。魚があまり釣れなくても場所取りも必要なく隣の人と仕掛けがおまつりすることもない。
荷物は置きっぱなしで昼ごはんは車で一服、疲れたら防波堤の上で昼寝。そんなのんびりとした釣りができるからです。
クルマを空き地に駐車。広いので天気が良ければイスとテーブルを広げて夕食でもしようかな。
さてと先ずはインフレータブルジャケット(膨張式救命胴衣)を用意。それと折りたたみ椅子。これはのんびり派には必須。
まずはエギングから。久しぶりに釣り道具を整理してたらどうしてもエギが見あたらず、仕方ないから使っていないものを持参。「大丈夫かなぁ」
付近にはこのようなスミ跡がたくさん付いていました。
このような薄いスミ色はミズイカ、濃いのはコウイカです。スミの大きさからして胴長30cm程度かなと思います。
1時間キャスティングの繰り返し。イカの夜遊びといってイカは夜行性の生き物なので昼間は確率が少ないのも確か。集中力が途切れたので仕掛けチェンジ。
じっとしていると汗が滲んできます。黒のウインドブレーカー着用したのが失敗でした。日が当たると暑い。風が吹くと寒い。釣りに黒の衣服は不向きと解かっているのに次に出かけるときは忘れているんです。どうしようもないです。
なんもおもしろくない。釣れる気がしない。やっぱエギのせいか。飽き飽きしてきたので次の手。ヒラメやマゴチがいないかメタルジグを投げてみます。以前はイトヒキアジが釣れましたが今回は反応なし。
次はナツメオモリを使った財布に優しいテキサスリグ。オオモンハタ、アコウを狙ってみました。これもダメ。砂地やからおらんわなぁ。
でもしばらくやってたらコイツが出てきました。
旨そうな「ガシラ」です。九州では「アラカブ」標準和名は「カサゴ」です。立派なお刺身ができます。
ようやく一種目終了。
早くも昼食タイム。マックスバリューで購入した2つ目のお子様ランチとビールを一本。変な組み合わせですが感慨無量。
後ろを通り過ぎる釣り人に「私は一人ですが今日は運転はしませんから」・・と心の中で弁明しとりました。
次の狙いはグレ。九州ではクロ、標準和名はメジナといいます。
オキアミは雑魚にエサを盗られますし、クルマに臭いが付くのも嫌なのでパン粉で勝負。マキエもツケエもパン粉を使います。こうしてエサをパチンコ玉くらいに丸めて付けて、時折マキエとしてビー玉くらいに丸めたパン粉を手で投げ入れます。ヒシャクでマキエを入れると腹が膨れてすぐに釣れなくなるからです。(だと思っています)
すると一頭目からお刺身サイズが出てきました。ここではこの大きさまででそれ以上のサイズは期待できません。
小さなグレは次々にお帰りいただいて、30cm程度のもののみキープしました。
そうしているうちに来た来た!次の魚種「ベラ」。こいつは狙ったわけじゃありません。狙って釣れる魚じゃないんですが、釣れてしまう魚です。
数年前、海水魚を飼っていました。ベラはカラフルですし、生命力のあるうえ何でも食べる魚。海水の素は意外に安く簡単に海水魚を飼うことができるのでまたやってみるかな。
ベラは北部九州じゃ「クサビ」といってウロコを炙っていただきます。身が柔らかい白身の魚です。
岡山に行ったときこの小さな魚がお頭付きの刺身が出てきて驚きましたが、意外に美味かったです。やってみるときっと目からウロコです。
日が暮れる頃には誰もいなくなりひとりぼっち。なんだか寂しいので今日の釣りは終了。
車に戻ってシャワーでも浴びようと思いましたが外にシャワーカーテン出すのでは寒いので中止。車の中で裸になってタオルで体を拭いて我慢です。
夕食は釣った魚を刺身にしてビールを飲むつもりでの釣行でしたが、醤油を忘れたのに気づきました。塩もありません。塩コショーじゃ刺身は食えません。泣く泣く断念となりました。
かわりにエダマメ食べながら夕食準備。得意の鍋ですが、今回はインスタントにしましたがトップバリューの鍋つゆ、なかなかのもの。侮れませんな。
鍋材料一人前買うのは難しい。一番少量のものを購入しても4人分出来てしまいます。
「残ったら翌朝食べるか」とすべて調理。作りすぎ必至。
それなのにステーキ肉を焼きます。車の中でこの手の料理はやり辛い。脂が跳ねてしまいます。汚れるのを嫌って蓋をしたら蒸気が蒸発せず煮物になってしまいます。
その時はキッチンタオルを蓋がわりに油跳ねを防ぎます。火が移ると自分が焼肉になるので注意しましょう。
夕食準備終了。「いただきます」。
一人メシをいただきながら「遊びのスタイルが変わったな~」って思います。
キャンピングカーでこんな便利な旅を続けていますが、もはや日常となり有り難みがなくなっています。
もちろん初めはこの移動式の小部屋のようなクルマが便利で楽しくて仕方ありませんでしたが、大画面テレビだって最新のパソコンやスマホだって感動するのは数日の間。見慣れると生活の一部になるというものです。
贅沢で欲張りな話ですが、宿泊や食事のことを考えなくても良くなると時間の使い方も自由になり、これに慣れるともう元には戻れなくなります。
「食事も終え、酒も回ってきたので洗い物は翌朝にするか・・」。車窓から皆との様子を眺めるも人影はありません。近くから鹿の大きな鳴き声が聞こえます。鹿の鳴き声ってトンビの声と似た感じですね。
用を足すのにドアを開けると後ろの藪の中にガサガサ!っと駆け込みこちらもビックリ!。車の後方数十メートルまで奴らは来てます。このところ鹿と猪の態度はデカいですから注意しましょう。1人で釣りは周囲が騒がしいのでやめました。
また21時ですがお腹いっぱいでもう酒も入りません。2局しか入らない地デジ放送はNHKの外交語講座とプロ野球でぜんぜん興味ありません。シートはフラットにせずとも横になれますので羽布団一枚かぶって朝まで熟睡しました。
翌朝6時に目覚め外を見るともう夜が明けており、既に釣り人が2人エギングしています。
今日こそは釣るぞとエギング仕掛けを携えてすぐ釣り開始。この防波堤はよく笠木さんとよく通ったな。昨日は不発でしたがここはミズイカ(モイカ)は当時からよく釣れました。
延々とキャスティングの繰り返し。飽きっぽい私はこの単調な繰り返しが大の苦手。3~4年はエギングにハマってましたがこの7~8年はほとんどやっていませんでした。
今では手に入らない「名匠エギ」これでアホみたいにイカを釣りましたが今回は一回かけて外れただけ。「五目」を達成するため昨日と今日合わせて6時間はエギングをやったものの撃沈しました。
「釣り竿は一方に釣り針を、他方の端に馬鹿者をつけた棒である」。とは有名な格言です。
わしゃ棒以下かよ。次はこの棒でグレを釣ります。
昨日残ったパン粉をそのまま海面に撒いてみると間もなくグレがエサに群がります。10~20センチのグレばかり。
グレを釣るときのエサ取りで一番厄介なのは実はこの小さなグレたちなんです。
このサイズのグレばっかし。午前中の上げ潮は手のひらサイズのようです。
打つ手なし。集中力が切れかけたところで4魚種目がきました。
「カワハギ」です。この魚はエサを盗るのが上手で狙って釣るのが難しい魚です。細長い「ウマヅラハギ」というカワハギは肝が大きく刺身醤油に溶いて食べると美味です。
この魚も観賞用に最適なサイズでした。
そろそろ釣りも飽きたのでこれにて終了。五目釣りは達成できず「四目」で終わりました。
帰りに老夫婦が内側の船だまりで釣りをしていました。
「何が釣れるんですか?」
「木っ端グロです」(木の葉程度の小さなグレ)
「防波堤の外側で大きなクロがもう少ししたら釣れ始めますよ」と好意で話しかけたんですが、
「小さなクロを釣りに来たんですからここでいいですよ」
・・そうか。大きなお世話でした。大きな魚を釣りたい、たくさん釣りたい、みんながそうじゃない。釣りの価値観は人それぞれですからね。
「これから寒くなるから気をつけて」と挨拶して釣り場を後にしました。
帰りに釣友だった笠木氏の家に立ち寄り、お線香をあげ、魚を預けて帰路につきました。・・そうやった、笠木さん魚好かんのやった。
佐伯市内にある「皆来亭」。ここのチャンポンは私がこれまでいただいた中で一番旨いです。
昔、笠木さんと良く行ったな~、この店。食べて帰ろうと思っていたら今日は店休日でした。
東九州道佐伯ICに入り順調に移動。
昼食は昼時なんで別府SAも満杯。しかたないのでインスタントラーメン作って我慢。
ちゃんぽんもインスタントラーメンも食べてしまえば同じですわね。おかげで節約できました。
いい天気、いい気分で運転。
西九州自動車道をローリングストーンズ聞きながら爽快な時間でした。
自宅まで約3時間半、あっというまに到着。往復410kmでした。
海づりの後は潮風でクルマが痛むので車内外を水洗い。次の旅まで水が痛むので水は排出しておきました。
これから涼しくなるので次の釣りは磯釣りかな。