いつかはやりたいと思っていた鮎の友釣り。九州ではメジャーな釣りじゃないので、なかなか覚える機会がなかったのですが、城戸さんに巡りあいスタートすることができました。
北九州市を車で出発し約2時間で大分県日田市の釣り場に到着。
三隈川を中心に釣り場を見て回りますが、連日の大雨で水位が上がり、なかなか良い場所が見つからず、師匠の城戸さんも困惑の顔。
「ん~流されそう・・」
ひとまず情報収集のため、城戸さんの行きつけの店に移動します。
「ぜんぜん釣れんのやわ~、どげん頑張っても一匹もかからんけの~」
まぁ今日は釣り方を覚えるのが目的。とりあえずオトリと呼ばれる元気な養殖鮎を2匹購入しました。酸素を入れてくれるので水温を上げないよう注意すれば3時間は生きているそうやわ。
そして「日釣り」と呼ばれる1日釣りが有効な遊漁券を3000円で購入。ここに限らず河川での釣りは内水面漁協に遊漁料を支払わなければなりません。鮎釣りはヤマメに比較し遊漁料が高額です。年4回以上行くならば10000円の年券が割安です。
「んー、3000円分オトリ鮎買って帰った方がいいのかも・・」
釣具店からすすめられた安全な場所、観光地のド真ん中、豆田町に移動し、城戸さんに手ほどきを受けながら仕掛けを組み立てます。そしてオトリ鮎に3本錨針を取り付けた後9メートルもある長竿をぶん回して流れの中心にオトリ鮎を誘導します。
縄張りの中にオトリ鮎を泳がせて、追い出そうと体当たりしてくる奴を、3本錨針にひっかけて釣ろうという寸法の釣りです。考えてみるとアユに仲間を売らせるという極悪非道、仁義ない釣りかも知れません。
オトリ鮎を放つと、流れに逆らって元気に泳いでいきます。 必死こいて律儀に激流を泳いでいるさまは、健気な子分のように思えます。何度か繰り返していると、日ごろから動物性のペレットを食べて育った運動不足の養殖鮎はすぐに息切れしてきて、流されるようになってきます。
早いところ元気のよい奴を釣りあげなければオトリ鮎が昇天します。
ほどなく、そんなことも何も知らないアユが体当たりしてきて、ド~ンと竿がひったくられて一匹目の鮎が釣れてきました。
「やったね!」
役を終えたオトリ鮎は、ミッションを引き継ぎ「引き船」と言われる一種の牢に入れられます。その数時間後には一生を終えることになります。
ヤマメと違って川に帰してくれる優しい釣り人なんておりません。不味いとされるオトリ鮎でさえ恩赦はありません。
同じ鮭科の魚であるにも関わらず、ヤマメは3年は生き、鮎は1年しか生き延びられない魚なんです。それなのに逃がしてくれないなんてかわいそうに思いますが、私も父の大好物なんでお持ち帰りします。
友釣りの歴史は300年以上も昔といいます。武道でもない釣り方がこうして私のような釣りバカにこうして受け継がれました。うちじゃ次男にそれを引き継ぐ予定です。
面白いですねー釣りは。城戸さんありがとうございました。また連れて行ってください。
ちなみに城戸さんは「釣りバカ」ではなく「釣りキチ」です。