秘密基地

 you-tube 上にあったサバイバルチャンネルやディスカバリーチャンネルの「ザ秘境生活」「ガチサバイバル」というネット動画がやけに楽しい。

 男女が全裸で過酷な自然に入り自給自足生活。小屋を作り火を起こし食料の調達を行う中、過酷な天気や気温に翻弄され、動物や虫からの攻撃を受け、飢えと病気、怪我と戦いながら一定の日数を生き抜くというドキュメンタリータッチの作品ですが、やらせじゃない緊迫感が伝わってきます。

「そうか、そんなにサバイバルが好きか?」と聞かれると私はサバイバルには全く興味はありません。数時間もかけて火起こしするなんてありえませんし迷うことなくカセットコンロを使います。そんな面倒なことをやる性癖はございませんが、なぜかしらそのスタイルに魅力を感じるます。

「じゃあ何が魅力なのか?」って言われると、言葉で表すのはなかなか難しいのですが、あえて言葉にすると「秘密基地」みたいな気がします。

 小枝と木の葉を組んで作った屋根があれば、雨でも濡れずに過ごせるし身を隠せて安心できる。屋根の下で火を起こして暖をとったり灯かりをともしたり調理したり。サバイバルとキャンプじゃ次元が違いますが楽しみ方は似たこところも多くあるように思います。

 タープが一枚あるだけで日差しや雨から身を守れます。小さなテント一枚あれば冬でも快適に過ごすことができ、不気味な山奥でも安らぎをもたらしてくれます。

 不自由な環境にわざわざ出向き、その中でも快適に過ごせるよう優れた品質のアウトドアグッズをそろえる。高級な防水透湿性素材のテントやハンモック、コッヘルひとつにとっても拘る。そんな自分のスタイルに合ったアウトドア用品が一つひとつ増える毎に快適な時間を楽しめることがキャンプの大きな楽しさなのではないかと思います。

 振り返ると幼少の頃、ジャングルジムの中に作った秘密基地で雨を凌いだこと。五島列島の磯で父とタープの下で夜を過ごしたこと。切れ波止で釣りをしている時、3人用のテントを張り、凍えそうな夜を過ごせたこと。山奥にテント泊で雨に見舞われ助かったときのこと。そりゃもうあげたらキリがないほど道具たちに救われました。

「初めからそんなところに行かないで家でゆっくりすればいいやん?ホテルや民宿に泊まった方がもっと快適やないんね」とよく言われますが、私にとっては「魚釣りに行く金があればもっと美味い魚が買えるやんか」と等しい愚問で女子供にはきっとわからないでしょう。

 屁理屈はともかくとして一般的には外で仲間やファミリーとワイワイガヤガヤ外で安価に楽しむというのがキャンプの醍醐味。今年の猛暑の中でも福岡近郊のキャンプ場は予約も取れないほどの人気でした。

 アウトドア、キャンプの王道といえば「テント泊」。キャンピングカーでの車中泊は慣れるてくると日常化して飽きますが、テントは不思議とそうなりませんというのが私の率直な感想。なんせ布切れ一枚外は自然。地面に寝るのですから毎回新鮮です。

 テントは高価なタープ一体型よりも、テントの上にタープを別に張ると、居心地は数段上がります。風通しが良く日差しを遮りますし雨が降ってもテントの下でゆっくりとやれます。

 しかしこんなアウトドア生活。一日やるなら楽しい、一週間は我慢できても、一か月もやれば逃げ出したくなるでしょう。

 たまにやるから非日常。楽しいに決まっています。そんな人にうってつけのキャンプ場があります。

鉄山キャンプ場」大分自動車道の九重インターから約30分。標高1000mに位置するオートキャンプ場です。ミステリースポットとして案内板を出しておりますが、磁気を帯びた岩石によりコンパスが狂うことがあるということで怪しいことはありません。

 広大な森林の中、売店もない、アトラクションもない、区画もなければ受付もない。夜は外灯すらなく、自ら明りを用意しなければなりません。

 テントを張りたい場所に設置し、車の乗り入れも自由。行きたい時間に行き、帰りたい時に帰る。予約もキャンセルもなし。こんなに気ままで自由なキャンプ場はほとんどありません。

 朝夕以外は管理人が不在なので利用者のモラルにより環境が守られているという玄人好みのキャンプ場で、自然の中でブッシュクラフトを楽しむにはもってこいです。自己完結できる方は、森の中で薪をひらい、火打石で火をおこし、飯盒で飯をたく。川の水を沸かし風呂に入ることもできます。

 夏は清流で水浴びしたり魚釣り。夜は近郊の温泉に行ったあとハンモックで星空観察。

 森の中で誰にも監視されることもないプライベート空間に自分の居場所を見つけることができ、きっと満足できる場所になることでしょう。

 もちろん水洗トイレと炊事場はありますがキャンプ初めてのお父さん、虫嫌いのお母さん、アスレチックや公園、温泉完備のキャンプ場を望むならば、他を当たった方が良いでしょう。

 鉄山キャンプ場のすすすめのシーズンは真冬。

 春~秋のキャンプシーズンをのぞき、氷点下10度におよぶ冬にこの地でキャンプをする人はあまりいません。

 だからこそ、焚き木で暖をとり暖かいものを作る。テントの中でダウンのシュラフに足を突っ込みながらホットウイスキーをいただく。私は数回やりましたが、こんな至福の時間はありませんでした。

 やればわかる、きっとキャンプオタクはハマることうけ合い。

 今年も冬の鉄山キャンプ場に「秘密基地」を作りに行ってみます。

 そうだ、今日は誕生日やった。これまで大きな怪我や病気もせず遊んでこられました。家族、友達、自然に感謝。

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