つい数年前まで普及機で1000万円もした3次元造型機。今じゃ2万円後半から手に入ります。
プリンター業界の常套手段ともいえる独自サプライ販売は健在ですが、それにしても機械の値段は半場なく安くなりました。この3次元造型機(以下3次元プリンター)を使って物騒なものを作る人まで現れたり、オバマ大統領が一般教書演説で重点課題として積層造形を取り上げたことも記憶に新しいでしょう。
これまでの試作環境は切削機と言われるもので削って行っていました。そのためアンダーカットと言われる形状は分割しないと加工できません。それなりの知識も必要ですし、周囲は切削の屑で散らかる上、多少の危険もともないます。
それに比較し、3次元プリンターはこれらの常識を覆す自由な設計が可能になります。ルアーのような高単価で種類が多く需要の小さなものはもってこい。造型する材料も多くの樹脂、エラストマーなども可能。家庭で修理パーツをDIYしたり買い物に行かなくても書斎の隅で作ったりできるものですから、技術者にとってはこれまでの常識を覆すほどインパクトがあるものなのです。
しかし良いところばかりではありません。今は未だ過渡期なので仕方ありませんが、3Dプリンターの品質は残念ながら一部の老舗を除き安定しておらず、将来不安なベンチャー企業も含め乱立状態です。出来上がりの質はカタログ数値じゃわかりませんから、信頼できるサイトで検証するか、出来る限り本物を見に行く必要があります。先述のサプライについても、単価が高く、標準的なルアーひとつ作るのに材料代のみで1000円程度は覚悟しないといけません。失敗を繰り返すとそれなりの費用がかかってきますので、まだおいそれと手がだせそうもありません。
3次元プリンターを動かすにはデータが必要となります。無料ダウンロードサイトに著作権フリーのデータがたくさんありますが、まだまだこれからスタートという感じです。これをデザインする人が増えてくれば想像もできない市場が生まれる可能性があります。かくいう私もこの可能性を虎視眈々と狙っているわけで、来るべきC to Cの時代を想像し、日夜研究(とまではいきませんが・・)しているわけですが、CADの画面凝視による視力の低下が著しく、どうやらその夢は遠くなってきたようです。